1、健康診断のX線(レントゲン)検査
レントゲン検査(X線検査)の最も一般的な方法としては、X線照射装置とフィルムの間に体をおいて、そのフィルムに対してX線を放射させる事によりフィルムに焼き付けて画像化する手法が上げられます。ちなみに、通常レントゲン検査において、レントゲン検査の黒い部分を「明るい」、白い部分を「暗い」というように表現しますので注意が必要です。
理由としては、腫瘍や潰瘍といったものはX線の透過度が低くなる事から、レントゲン用のフィルムに対して白い影を落とす事からきているといわれています。
項目名(略号) |
平均値 |
視力検査でわかる事 |
視力検査で分かる疾患 |
胸部レントゲン:XB |
正常 |
健康診断で胸部レントゲンを測る場合、X線照射装置とプレートの間に体を置き、X線を焼き付けて画像化し、コンピューターで処理してから測定します。
胸部レントゲンは肺、心臓、横隔膜などの器官の病気の有無、その広がり具合、臓器の位置がわかります。
健康診断結果には数値で表すことはせず、専門医の目視で病気の有無を診断します。現在ではコンピューター処理により、異常な箇所の色が変化するため、病気を発見できる精度が非常に高くなりました。
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胸部レントゲンの健康診断結果では肺癌、肺結核、肺気腫、肺線維症、大動脈瘤、心臓肥大などを疑います。
肺炎の痕跡がある石灰化巣陳旧性陰影、細菌やウイルスで膜が厚みを増す胸膜肥厚、肺の表面にある膜がくっつく胸膜癒着も確認することができます。
特に喫煙者によくあるケースでは、肺胞が拡張してから袋のようになった肺のう胞、そのあと大きくなって破れることで、胸中の空気が漏れる気胸が有名です。
また、幼少期に胸の横幅に対する心臓の横幅の割合が50%を超えていると「心拡大」と呼ばれ、将来、心臓疾患になる可能性があります。他にも脊椎の歪みなどもよく指摘されます。
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胃部レントゲン:XS |
所見ナシ |
健康診断で胃部レントゲンを測る場合、画像を鮮明にするためのバリウムを飲んだ後に、胸部レントゲン同様に測定します。
胃部レントゲンは食道から胃、十二指腸までの上部消化器管とその周辺部を撮影します。
画像で形や隆起を調べるため、良性や悪性は診断できません。ただし、形や部位から明らかに良性、もしくは悪性に変わる可能性があるという判別は可能です。
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胃部レントゲンの健康診断結果では食道炎、胃炎、胃潰瘍、粘膜下腫瘍、十二指腸潰瘍、ポリープなどを疑います。
へこんだ粘膜にバリウムが貯まってコブのように突出したニッシェバリウム、潰瘍で粘膜がひきつれてしまっている粘膜集中、炎症やただれにより組織が不揃いに並んでいる不整アレアもわかります。
また、会社員の男性によく見られる粘膜の表面がデコボコになり、粒状に描かれた顆粒状変化が目立つと、慢性萎縮性胃炎と診断することができます。
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2、健康診断のエコー検査超音波検査(エコー検査)は、高周波の超音波を使って体内をモニター上に画像化し、病気の有無や状態、胎児の成育状況などを調べる検査です。 エコー検査は、肝臓・胆道・膵臓・腎臓・消化管といったお腹の中の臓器全般から、心臓や血管・乳腺・甲状腺、関節・筋肉・腱など、肺や消化管内のように気体のある部分と骨の裏側以外の検査をすることができます。
項目名(略号) |
平均値 |
身体測定でわかる事 |
身体測定で分かる疾患 |
腹部エコー:ECS |
正常 |
呼吸を止めている間に動かない臓器を観察します。超音波は内臓の表面や密度の異なるところの反射を記録できる検査方法です。
放射線と違い、身体に悪影響はなく、簡単に行えるため健康診断や人間ドックで採用するところが多くあります
腹部エコーは肝臓、胆嚢、膵臓、腎臓、脾臓、前立腺などにある、のう胞、石灰化、結石、腫瘍などの病変を捉えることができます。
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腹部エコーの健康診断結果では脂肪肝、肝血管腫、アデノミオマトーシス、肝硬変、肝臓癌、胆石、腎結石などを見つけることができます。
よくいわれる、「のう胞」、「石灰化」、「結石」などは所見であり、病名ではありません。
のう胞:水の溜まった空洞で、肝臓、腎臓、膵臓などに、加齢とともにできます。肝臓と腎臓の場合は年1回の経過観察で問題ありません。ただし、膵臓に認められた場合は精密検査が必要です。のう胞内に腫瘤が形成されたときも精密検査となります。
結石、石灰化、大きい石:胆嚢や尿管にできた石は結石を意味します。数や大きさによって、精密検査の必要性を判断します。
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乳房エコー:ECB |
正常 |
乳房エコーはしこり、乳腺炎、乳腺のう胞症、乳腺腫瘍などの乳房の病変を捉えることができます。
日本では食生活などの生活スタイルが欧米化するに従い、乳癌を発生する女性が増えてきました。
従来、乳癌検診は医師が乳房のしこりの有無を手で触れて確認する触診が行われてきましたが、乳房超音波検査では触診で発見しにくいごく小さいしこりも発見可能となりました。
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乳房エコーの健康診断結果では乳癌、乳腺炎、乳腺のう胞症、乳腺腫瘍などを発見することができます。
また、60歳以上の男性も乳癌になるリスクがあり、全症例の約1%を占めます。そのため男性においても必要性が上がってきています。
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甲状腺エコー検査:ECT |
正常 |
甲状腺の病気にかかると甲状腺が大きくなることが多いため、まずは甲状腺の大きさを調べます。次にしこりの有無を確認します。
しこりがあった場合は腫瘍の位置や形状、内部の状態を診断します。そのときに血流の速度や腫瘍の硬さを調べて、その場で良性か悪性を診断することもできますが、精密検査を進められることがほとんどです
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3、健康診断の核医学診断
項目名(略号) |
平均値 |
身体測定でわかる事 |
身体測定で分かる疾患 |
シンチグラフィ:RI |
正常 |
体内に投与した放射性同位体から放出される放射線を検出し、その分布を画像化した画像診断の一つです。
腫瘍(がん)や各種臓器の機能の診断に使われ、核種の組織親和性を利用して、異所性胃粘膜の検出、甲状腺や唾液腺の検査にも使われます
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•転移性骨腫瘍の診断(悪性腫瘍の骨転移巣検出率は95%以上と高い、前立腺、乳癌、肺癌、神経芽細胞腫などによる骨転移)
•原発性骨腫瘍の診断
•骨折、スポーツ外傷の診断
•急性骨髄炎の診断(X線写真よりも早く検出可能である。)
•関節炎の診断
•骨移植の評価
•軟部組織の病巣検出(横紋筋融解症,皮膚筋炎,脳梗塞,急性心筋梗塞)
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PET |
正常 |
PET(ペット)とは、陽電子検出という現象を利用したコンピュータ断層撮影技術です。CTやMRIが主に組織を観察する為の検査方法であるのに対して、PETはSPECTと同様に生体の機能観察に特化した検査法です。もともとは中枢神経系における代謝レベルの観察に用いられていましたが、近年では、腫瘍組織における糖代謝に注目したガン検診に利用されます。 |
欧米では「がんが疑われたらまずはPETを(PETFirst)」という言葉があるほど、定着していると言われており、まずはPET検査の結果をみて、治療方針を決めるのが普通になっているようです。 |
4、健康診断のコンピュータ断層撮影診断
項目名(略号) |
平均値 |
身体測定でわかる事 |
身体測定で分かる疾患 |
CT |
正常 |
CTとは、放射線(X線)などを利用して物体を走査しコンピュータにより処理する事で体内の内部画像を構成することができるレントゲン検査の一種です。通常は断層として撮影しますが、コンピュータによる加工で立体的な像を撮影する事も可能です。短時間でほとんど苦痛なく検査できる上、多くの情報を得ることができることから、近年最も多く用いられる画像検査の一種です。 |
単純CT
単純CTとは、造影剤を使用せずに撮影を行うCTを単純CTといいます。主に脳内出血や浮腫、骨の異常、肺の異常などは造影剤を用いないで検査する方がより詳細に分析する事ができるとされています。
造影CT
造影CTとは、造影剤を注入した後にCT検査を行う手法です。血管内や血流が豊富な組織がより鮮明に映像化できることから、より検査しやすくなります。造影CT単独または、単純CTと組み合わせて検査する場合があります。 |
核磁気共鳴画像法:MRI |
正常 |
MRIとは、核磁気共鳴という現象を利用して体内の内部情報を画像化する方法です。CTとよく似た画像が得られますが、CTとは異なる物質の物理特性に注目しており、CTでは得られない情報を得ることができます。
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軟骨や筋肉、靭帯などの軟部組織は一般的にX線で評価できないため、腰椎椎間板ヘルニアや靭帯損傷、肉離れ、骨軟部腫瘍など、骨以外の運動器の異常の評価に有用である |
5、健康診断の内視鏡検査
本体に光学系を内蔵し、先端を体内に挿入することによって内部の映像を手元で見ることができます。細長い形状をしている一般的なものの他、カプセル型のものもあります。また、観察以外に、ある程度の手術や標本採取ができる性能をもつものもあります。
項目名(略号) |
平均値 |
身体測定でわかる事 |
身体測定で分かる疾患 |
内視鏡検査 |
正常 |
内視鏡検査とは、先端に小型カメラ (CCD) またはレンズを内蔵した太さ1cm程の細長い管を口あるいは肛門より挿入し、食道、胃、十二指腸や大腸の内部を観察し、時には治療を行うものです。医療機器や技術の発達により応用範囲も広がり、診断から治療までスムーズに行われるようになってきました。 |
視覚的に、とらえ、様々な疾患を特殊画像診断ではなく、視覚的診断を下すことができます。
がんやその他の診断にも用いられます。心肺機能検査(心電図他) |
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